中国から商品を仕入れて物販を行う事業者にとって、2026年は仕入れコストを見通しにくい状況が続いています。
円安基調の継続によって仕入れ単価は上昇しやすく、米中貿易摩擦を背景に、生産拠点や調達体制を見直す動きも広がっています。さらに、国際物流のリードタイムも、コロナ禍後の正常化が一段落した一方、新たな変動要因が重なっており、従来の感覚で見積もると発注タイミングを誤るリスクがあります。
この記事では、中国輸入仕入れにおける2026年現在の「3つの変化」と、実務上の注意点・対応策を整理して解説します。
なぜ2026年の中国仕入れは難しくなっているのか

中国仕入れを取り巻く環境は、以下の3点で変化しています。それぞれ単独で見ると管理できる変動ですが、3つが重なることで「想定より利益が出ない」という状況が起きやすくなっています。
変化1:円安傾向の継続で仕入れコストが上がっている
中国からの仕入れは、多くの場合米ドルまたは人民元(CNY)で決済します。2024年〜2026年にかけて円は米ドルに対して弱い水準が続いており、円安が続く局面では、仕入れ原価が数十円単位で変動するケースがあります。
たとえば、1個2ドルの商品は、1ドル130円なら260円、1ドル155円なら310円です。為替変動だけで、1個あたり50円のコスト増になります。単品あたりの影響は小さく見えても、100個・1,000個単位でまとめて発注する中国輸入では、ロット全体の仕入れ原価に直接響きます。
また、人民元は市場の需給を基礎とし、複数通貨の動きを参照する管理変動相場制です。ドル/円だけでなく、円/人民元レートも確認したうえで発注判断を行うことが重要です。
変化2:米中関税政策を背景にサプライチェーン再編が進んでいる
2025年以降、米国の対中関税政策は、対象品目や税率、法的根拠を変えながら大きく変動しています。日本から中国へ仕入れる場合、この米中間の関税は直接適用されませんが、間接的な影響として以下の点が生じています。
- 生産拠点・調達体制の見直し:中国からASEANなどへ生産機能を移す動きが見られます。取引先の生産国や工場が変更された場合は、価格だけでなく、原産国、納期、品質管理体制なども改めて確認する必要があります
変化3:リードタイムの変動が続いている
コロナ禍の物流混乱は一段落しましたが、2026年現在も中国輸入のリードタイムは以下の要因で変動しやすい状況が続いています。
| 要因 | 時期 | 主な影響 |
|---|---|---|
| 春節(旧正月)前後 | 年によって異なる | 工場休業、受注締切の前倒し、休業後の出荷集中 |
| 国慶節前後 | 2026年10月1日~7日 | 工場休業、休業前後の出荷集中 |
| 国際物流の混雑・航路変更 | 状況によって異なる | 輸送日数や運賃の変動 |
| 日本の年末年始 | 12月~1月 | 通関・国内配送スケジュールへの影響 |
※工場の休業期間や受注締切はサプライヤーごとに異なります。発注前に製造・出荷スケジュールをご確認ください。
輸送日数は、商品の生産期間、出発地、利用する港、混載の有無、輸送サービス、通関状況などによって異なります。海上便・航空便ともに、発注前にサプライヤーやフォワーダーから最新の見込み納期を確認しましょう。
放置するとどうなるか:よくある失敗パターン

これらの変化を把握せずに従来のやり方を続けると、次のような失敗が起きやすくなります。
対応策:2026年の中国仕入れで利益を守るポイント

次の3つの対応策を実践することで、リスクを軽減できます。
対策1:発注前に為替レートを確認し、利益シミュレーションをレート別に行う
発注時の為替前提を1パターンではなく、「現在レート」「円安5円進んだ場合」「円高5円戻った場合」の3パターンで利益計算しておきましょう。大幅な円安時は仕入れを一部先送りにするか、販売価格を見直すことが有効です。
なお、仕入れ決済に外貨(ドル・人民元)対応のビジネスカードや海外送金サービスを活用すると、両替コストを抑えられるケースがあります。
対策2:輸入前に関税率を確認し、仕入れコストに組み込む
財務省関税局が公開している実行関税率表(税関ウェブサイト)で、品目のHSコードと適用される関税率を確認してください。
RCEP協定税率を利用するには、対象品目に協定税率が設定されていることに加え、原産地基準や積送基準を満たし、原産地証明の方法に応じた書類を準備する必要があります。日本への輸入では、発給機関が発給する原産地証明書や、輸入者が作成する原産品申告書などを利用できます。対象品目、適用条件、必要書類を輸入前に確認しておきましょう。
対策3:繁忙期と販売予定から発注時期を逆算する
以下の発注スケジュール目安を参考に、年間の発注計画を立てておきましょう。
春節や国慶節の前後は、工場の休業だけでなく、休業前の受注締切や休業後の出荷集中も考慮する必要があります。サプライヤーに製造期間・休業予定・最終受注日・出荷再開日を確認し、販売予定日から逆算して発注時期を設定しましょう。
また、Amazonプライムデー、楽天スーパーセール、Yahoo!ショッピングの大型セールなど、自店の販売繁忙期とも照らし合わせて在庫確保のタイミングを決めることが重要です。NETSEAなどの国内卸では、中国から直接輸入する場合より短い納期で仕入れられる商品もあるため、中国輸入品とNETSEA仕入れ品を組み合わせてリードタイムリスクを分散する方法も有効です。
NETSEAでは日用品・雑貨やアパレルなど中国輸入品と競合しやすいカテゴリの国内卸商品も多数掲載されています。中国仕入れの繁忙期の補完や、リードタイムリスクのバッファとして活用してみてください。
まとめ
2026年の中国輸入仕入れにおいて意識すべき変化は、円安傾向の継続・サプライチェーンの再編・リードタイムの変動の3点です。いずれも単体では対処可能な変化ですが、重なったときに想定外のコスト増や在庫切れが起きやすくなります。
今から取り組める対策は、①為替レート別の利益シミュレーション、②発注前の関税率確認、③繁忙期を逆算した発注カレンダーの3つです。特に年末商戦・春節・Amazonプライムデーなど大きな繁忙期は、国内仕入れより長いリードタイムを前提に計画を立てることが、利益を安定させる近道です。



