
フリーランスだけど開業届って本当に必要?
そう思っている方も多いのではないでしょうか。
実は、開業届を出すことで税金面のメリットを受けられたり、事業の信用度が上がったりと、さまざまな利点があります。
この記事では、フリーランスが開業届を出すべき理由とそのメリット、さらに簡単な書き方まで詳しく解説します。「まだ出していない…」という方も大丈夫です。
ぜひ最後まで読んでみてくださいね。
開業届とフリーランスの基礎知識

開業届とは、個人が事業を開始したことを税務署に届け出る書類です。
法的には「個人事業の開業・廃業等届出書」と呼ばれ、提出することで税務上の事業者として認められます。
1.税務上の区別:開業届を提出すると、個人事業主として正式に認められ、青色申告の適用を受けられるよう になります。
2.社会的信用の向上:銀行口座の開設や融資の審査で有利になることがあります。
3.各種制度の利用:小規模企業共済や国民年金基金などの事業者向けの制度を活用できます。
フリーランスが開業届を提出すべき理由
フリーランスとして開業届を提出するメリットは大きいですが、提出しない場合のリスクもあります。
メリットの大きな点としては下記の3つがあります。
- 税制上の優遇を受ける
開業届を提出すると、青色申告特別控除(最大65万円)が利用でき、節税効果が期待できます。
確定申告時の負担を軽減できる点も重要です。
- 社会的信用を得る
開業届を出していないと、業務委託契約の際に信頼性が低く見られることがあります。
正式な事業者として認められることで、取引先との契約がスムーズになります。
- 融資や補助金の申請が可能に
事業を拡大する際、日本政策金融公庫などの融資を受けたり、自治体の補助金を活用したりできます。

では提出しなかった場合どうなるのでしょうか。
開業届は必ずしも提出しなくても罰則はありません。
副業として小規模に始めて、まだ事業として継続するか分からない場合は、しばらく様子を見るのも選択肢の一つです。
ただし、提出しないリスクもあるので認識しておきましょう。
参考:国税庁「開業届」
開業届の提出期限はいつまで?
開業届は、事業開始日から1ヶ月以内に税務署へ提出する必要があります。
例)2025年4月1日に事業を開始した場合、提出期限は2025年5月1日です。
提出が遅れた場合、青色申告が適用されなくなりその年は白色申告しかできなくなる可能性があります。
また税務署から指摘を受ける可能性があります。
後から指摘を受けると、過去の収入に対して追徴課税が発生することも。

遅れてしまった場合は、理由を添えて速やかに提出しましょう。
開業届と確定申告の関係性
開業届を提出すると、確定申告が義務になります。
特に青色申告と白色申告の違いを理解しておきましょう。
青色申告と白色申告の違い
項目 | 青色申告 | 白色申告 |
---|---|---|
控除額 | 最大65万円 | なし |
帳簿の作成 | 必要(複式簿記) | 簡単(単式簿記) |
赤字の繰越 | 3年間可能 | なし |
・開業届の控え
・売上・経費の帳簿
・収支内訳書 or 青色申告決算書
・源泉徴収票(必要に応じて)
・1~2月:帳簿の整理
・3月15日:確定申告期限
フリーランスの開業届のメリットとデメリット

フリーランスとして仕事を始める際、開業届を提出するかどうか迷う人も多いでしょう。
開業届を出すことで得られるメリットと、注意すべきデメリットについて解説します。
このように、開業届の提出にはメリットとデメリットがあるため、自分の状況に合わせて判断することが大切です。
青色申告の活用
フリーランスが節税のために活用できる制度の一つが青色申告です。青色申告を選択することで、以下のようなメリットがあります。
青色申告を利用するには、税務署に「青色申告承認申請書」を提出する必要があります。
開業届と一緒に提出するのが一般的ですが、開業の2カ月以内、または適用を受けたい年の3月15日までに提出すれば問題ありません。
また、帳簿を複式簿記で記録することも条件の一つです。
事業用口座開設の重要性
これにより、確定申告の際の負担も軽減され、業務が効率的になります。
また、専用口座を使用することで、クライアントへの請求や融資申請の際に、信頼性が高まり、信用度が上がります。
さらに、プライベートの口座と事業用口座を分けることで、生活費と事業費を区別でき、無駄な支出を防ぐことができます。
事業用口座を開設する際は、銀行の窓口で「開業届の控え」や「屋号付きの印鑑」などが必要になります。
特に法人用の口座ではなくても、屋号付きの個人事業主口座を開設できる銀行もあり、便利です。
必要書類を事前に確認し、手続きをスムーズに進めましょう。
小規模企業共済の概要
小規模企業共済は、フリーランスや個人事業主が退職金代わりに利用できる共済制度です。
小規模企業共済のメリット
加入するには、個人事業主または小規模企業の経営者であることが条件です。
申し込みは全国の金融機関や商工会議所で可能で、掛金は月1,000円~7万円の範囲で自由に設定できます。
失業保険のリスク
フリーランスとして開業届を提出すると、失業保険の受給資格を失う可能性があります。
例えば、会社を辞めてフリーランスになった場合、失業給付を受け取るには「求職活動」をしていることが条件です。
しかし、開業届を出すと「事業を始めた」とみなされ、給付対象外になります。
失業給付を受けながらフリーランスの準備をしたい場合は、開業届を出すタイミングに注意しましょう。
扶養控除の影響
開業届を提出し、一定の所得を超えると、扶養控除の対象から外れることになります。
具体的には、年間の合計所得が48万円を超えると、配偶者や親の扶養に入れなくなり、社会保険の負担が増える可能性があります。
また、配偶者控除や扶養控除が適用されなくなるため、世帯全体の税負担が増加する点も注意が必要です。
開業届を出す際は、これらの影響も考慮しながら計画的に進めることが大切です。
開業届の正しい書き方と記入のポイント

開業届を作成する方法は主に2つあります。
① 自分で作成 開業届(個人事業の開業・廃業等届出書)は税務署所定のフォーマットを使用する。
全国の税務署や国税庁のWebサイトからダウンロード可能です。
手書きで作成する場合、提出用と控えの2枚を作成して保管する必要があります。
e-Taxを使うとオンラインで作成・提出もできます。
② 開業届ソフトでオンライン作成 インターネット上で簡単に開業届を作成できるソフトを使用する。
例えば、マネーフォワード クラウド開業届は無料で提供されており、フォーム入力で簡単に開業届を作成でき、最短5分で完了します。
基本情報の記入方法
開業届にはいくつかの記入項目があります。
主な項目と記入ポイントをリストで解説します。
氏名・住所 | 本名・現住所を正確に記入。 |
開業日 | 実際に事業を開始した日。誤記しないように。 |
事業の種類 | 主に「事業内容」を簡潔に記入 |
屋号 | 主に「事業内容」を簡潔に記入 |
事業所の所在地 | 事業を行う場所を記載。自宅兼用の場合はその住所 |
記入ポイントとしては、誤字や省略に注意し、提出前に内容を確認することです。
開業日は事業を開始した日を記入しますが、これに誤りがあると後々問題になることがあるので、正確な日付を記載することが大切です。
注意点として、書き間違いがないように確認すること。

もし他に必要な書類(例:住民票など)があれば事前に準備しておきましょう。
事業内容の記載方法
事業内容は、どのようなビジネスを行っているかを簡潔に記入する部分です。
例えば、「オンラインショップを運営」や「家庭教師業務」など、具体的な仕事内容を説明します。
記載例:
オンラインショップを運営(販売業)
美容関連商品を仕入れ、販売(卸売業)
注意点として、事業の詳細を細かく記入しすぎると、誤解を招くことがあるため、簡潔で明確な表現を心がけましょう。
事業内容によって記入方法が変わる場合もありますので、業種に応じた適切な記入を行うことが大切です。
屋号の決め方
屋号を決める際のポイントは、事業の特色を反映させることです。
例えば、事業内容が美容関係ならば「美しい」や「キレイ」など、業界に関連する言葉を入れると親しみやすくなります。
また、屋号は他の事業と混同されにくい名前を選び、個性的で覚えやすいものを選ぶと良いでしょう。
注意点:屋号に使用できる文字は漢字、ひらがな、カタカナ、アルファベットが基本です。

ただし、禁止文字として、法的に保護された商標や、他の事業の屋号を侵害する可能性がある文字などがあるので、事前に確認しておくことをおすすめします。
開業届の提出方法と必要な添付書類

開業届は、最寄りの税務署に提出します。
提出方法としては、直接税務署に持参する方法、郵送で提出する方法、そしてオンライン申請の方法があります。
オンライン申請は、e-Taxを利用してインターネットで申請できます。
これにより、税務署に足を運ぶことなく手続きを完了できます。
必要な添付書類は以下の通りです。
本人確認書類(運転免許証、パスポートなど)
開業届(税務署から受け取る)
印鑑(法人の場合は会社印)
オンライン申請の場合、上記の書類をスキャンしてアップロードする形になります。
提出方法の選択肢
開業届の提出方法には3つの選択肢があります。
税務署に直接持参する方法は、申請後すぐに受理されるため安心感があります。
メリットとしては、提出後すぐに確認ができ、質問があればその場で解決できる点です。
デメリットは、税務署まで行く手間がかかることです。
開業届を記入し、必要書類を郵送する方法です。
メリットは、自宅から郵送できるため、時間を選ばず手続きができることです。
デメリットとしては、確認に時間がかかることや、誤送信や書類不備があった場合に返送される可能性がある点です。
インターネットを利用して開業届を提出する方法です。
メリットは、自宅で簡単に提出でき、手続きがスムーズに進むことです。
デメリットは、e-Taxの設定や認証に少し手間がかかることです。
必要書類の準備リスト
開業届を提出する際には、以下の書類が必要です。
必要書類を準備する際、誤りや不備がないように確認しましょう。
特に、印鑑や署名漏れがないように気を付けましょう。
開業届提出時によくある不備と対処方法
開業届を提出する際に、よくある不備とその対処方法を以下に紹介します。
ケース | 具体例 | 対応策 |
---|---|---|
署名や印鑑の漏れ | 開業届の署名欄に名前を記入したり、印鑑を押し忘れるケースがあります。 | 提出前に内容を確認し、漏れがないか再チェックする。 |
事業内容の記載漏れ | 事業内容の欄が不完全である場合、税務署から返送されることがあります。 | 事業内容を簡潔かつ具体的に記入する。 |
提出書類の不備 | 提出書類が不足している場合。 | 必要書類を事前に確認し、提出前に必ずチェック。 |
これらの不備を防ぐために、提出前にチェックリストを作成し、一度確認することをお勧めします。
開業届提出後の手続きと確定申告のポイント
開業届を提出後には、いくつかの手続きが必要です。
①まず、税務署への青色申告承認申請書の提出(希望する場合)が重要です。
青色申告を選択することで、税制優遇を受けられます。
②さらに、事業に関わる経費の領収書や帳簿を整備し、記帳を始めることが求められます。
これにより、確定申告時に必要なデータが整います。
③確定申告の際には、経費や収入の記録を基に申告を行います。
準備としては、領収書の整理や売上の記録を早めに行い、税理士に相談しておくと安心です。
国民健康保険・年金の手続き
開業届提出後には、国民健康保険と国民年金の手続きが必要です。
国民健康保険:開業後は、会社員や扶養から外れるため、最寄りの市区町村役場で国民健康保険の加入手続きを
行います。手続きに必要な書類は、開業届の控えや身分証明書です。
期限:開業日から14日以内に手続きを行いましょう。
国民年金:年金の加入手続きは、開業後に日本年金機構で行います。国民年金の加入も必須です。
期限:開業から1ヶ月以内に手続きを行います。
記帳の始め方
フリーランスとして事業を行う際、記帳は日々きちんと行うようにしましょう。
適切な記帳により、税務署に提出する確定申告書類が正確に作成でき、税務トラブルを防げます。
記帳の始め方は、まず毎日の収入と支出の記録を残すことから始めます。
帳簿には手書きやエクセル、会計ソフトなどを活用し、自分に合った方法でよいので必ず記入するようにしておきましょう。
まず最初は簡易な記帳法から始め、徐々に慣れてきたら仕訳帳や総勘定元帳を使って本格的に記帳を進めていくことが望ましいです。
記帳をサポートするツールやアプリも多いので、活用してみるのもおすすめです。
確定申告の準備
確定申告を行うための準備は、事前にしっかりと整えておくことが大切です。
まず、収入・支出の記録を整理し、領収書や請求書をまとめておきます。
次に、帳簿(または会計ソフト)を使って、収支の詳細を整理し、必要に応じて青色申告承認申請書を税務署に提出します。
確定申告では、経費計上のルールや控除の使い方を理解しておくことが重要です。
例えば、必要経費として認められる範囲を把握し、過不足なく計上することを意識しましょう。
注意点としては、提出期限を守り、誤記載や未申告項目がないように十分に確認しましょう。
よくある疑問と回答|開業届Q&A
提出忘れや遅れた場合
開業届の提出を忘れたり遅れたりすると、青色申告の承認が得られない可能性や、税務署からの問い合わせが発生することがあります。

遅延により、延滞税が課されるリスクもありますので、提出期限を守ることが重要です。
対策として、提出期限をカレンダーに記入したり、リマインダー設定を活用して、早めに手続きを行いましょう。
開業届の訂正方法
開業届に誤りがあった場合、訂正の手続きが必要です。
訂正は、税務署に連絡を取り、訂正内容を記載した訂正届を提出します。
訂正は速やかに行うようにしましょう。
電子申請の手順
開業届を電子申請すると、書類を郵送する手間が省けるだけでなく、提出完了後すぐに確認ができるというメリットがあります。
手順は、e-Taxを利用し、必要な情報を入力後、オンラインで開業届を提出します。
事前にマイナンバーカードやICカードリーダーを準備し、ID・パスワードを登録しておくと、スムーズに手続きが進められます。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
今回は、開業届の必要性や書き方、提出期限、開業前後の流れ、さらに確定申告の準備などについて解説しました。
個人事業主として活動を始めるためには、事業に関する知識やスキルだけでなく、開業に伴う手続きや必要な書類も理解しておくことが大切です。

これらの手続きをスムーズに進めるために、準備と計画をしておきましょう。
ぜひこの記事を参考にしていただき、開業準備を整え、円滑なスタートを切ってくださいね。
