ネットショップでも開業届は必要?そのワケと出し方を解説

ネットショップでも開業届は必要?そのワケと出し方を解説 ノウハウ

「ネットショップで商品を販売したいけど、開業届は出さないといけないの?」
「開業届を出すとどんなメリットがあるか知りたい」

ネットショップを始めようとしたけど、開業届の提出について悩んでいる方は多いのではないでしょうか。ここでは開業届について、提出することのメリットやデメリット、開業届の提出方法について解説します。

新しく事業を始められる方、副業でネットショップを運営しようとしている方など、開業届について詳しく知りたい方はぜひ最後までご覧ください。

開業届とは?

開業届は、新たに事業を始めた個人事業主が、税務署に事業開始を申請するために提出する届出書です。所得税法第229条に従い、事業所得、不動産所得、山林所得を得ることが見込まれる事業を開始した際には、事業開始日から1カ月以内に届出をすることが義務付けられています。

仕入れた商品を販売するネットショップも「事業所得」に該当するため、開業届の提出が必要です。開業届を提出するために費用はかからず、受理や登録までに審査はないので、誰でも簡単に手続きができます。

開業届と確定申告の関係性

また、開業という話になると確定申告について気になる方も多いのではないでしょうか。しかし、開業届の提出と確定申告は直接的な関連性はなく、年間所得が一定基準を超えた場合は確定申告が必要です。ただし、開業届を出していると青色申告で確定申告ができ、大きな節税につながります。

開業届を出しておく4つのメリット

「開業届」と聞くと、難しそうだし面倒くさそう、、、とお考えの方も多いと思います。しかし、開業届を出すことで様々なメリットを享受できるのです。

個人事業主としての公的な証明になる

商売を行う上での社会的な信用力を築く手段の一つとして、会社では登記情報を公表しますが、個人事業主は開業届によってこの信用を得ることができます。

特に物理的な店舗がないネットショップ運営などでは、開業届が事業の存在を証明する唯一の公的な書類です。

税務署から収受印を受けた開業届は、対外的な証明書として広く利用され、保育園や学童保育の利用、融資や給付金の申請、ビジネス用クレジットカードの審査など、さまざまな場面で求められる書類です。

また、楽天市場やヤフーショッピングではショップを出店するときに開業届の提出が必須です。ECショップを開設しようと考えている場合は、開業届を提出しておくのがおすすめです。

青色申告が可能になる

開業届を提出することで、個人事業主は青色申告を利用する資格を得ます。青色申告とは、税制上の多くの優遇措置を受けることができる制度です。

その最大のメリットとして、最大65万円の所得控除が可能になる点が挙げられます。これにより、実質的に納税額を大幅に減らすことができます。

また、家族の給与を必要経費として計上できることや、事業で発生した赤字を次の3年間にわたって繰り越し、他の収益と相殺するということも可能です。

青色申告の注意点

ただし、青色申告をするためには開業届の提出に加えて、「青色申告承認申請書」を開業から2カ月以内に提出する必要があります。

開業届を提出するだけでは青色申告をすることはできないので注意しましょう。

なお、青色申告の申請は一度申請してしまえば継続して適用されるため、毎年申請をする必要はありません。青色申告の申請をしたことによる通知などもないので覚えておきましょう。

小規模企業共済への加入が可能になる

開業届を提出することによって、小規模企業共済制度への加入が可能になるという大きなメリットがあります。

この制度は、独立行政法人中小企業基盤整備機構が管轄し、個人事業主や中小企業の経営者が将来のために資金を積み立てることができます。

小規模企業共済の詳細については以下の通りです。

小規模企業共済の詳細
  • 加入者は掛金を全額所得控除でき、税制上の大きなメリットを得られる。
  • 掛金の設定は、1,000円から70,000円まで、支払い方法も月払い、半年払い、年払いから選択ができる。
  • 掛金の全額が所得控除の対象となり、最大年間84万円まで控除できる。
  • 加入者は廃業や退職時に共済金を一括または分割で受け取れる。特定の満期や満額の条件はなし。
  • 小規模企業共済制度への加入には確定申告書、または開業届の控えで加入可能
  • 加入者は低金利での貸付制度を利用できるが、共済金を受け取る際には課税対象になる。

このように、開業届を出すことで小規模企業共済制度に加入できることは、個人事業主にとって大きなメリットがあります。

屋号を用いて銀行口座を開設できる

屋号とは、個人事業主が商業上で使用する名前で、法人でいうと会社名に相当します。ただし、個人事業主は屋号の登録が必須ではありません。ネットショップなどを開設する際は自由に店名を決めることが可能です。

屋号を用いて口座を解説することで、プライベートのお金と事業用の資金を明確に分けることができます。口座を分けることで帳簿管理の管理がしやすくなり、事業のキャッシュフローをより正確に把握できるでしょう。

また、屋号を設定することで社会的信用や信頼につながりやすいです。特に、事業用として明確に区別された口座を持っていると、取引先からも信用されやすくなります。

開業届を出すデメリット

健康保険の扶養から外れる場合がある

開業前に必ず知っておかないといけないのが、開業届を提出することで配偶者の扶養から外れる可能性があるということです。扶養が外れる条件は健康保険組合によって基準が異なるので注意しましょう。

一般的に健康保険上の扶養から外れる年間所得の目安は130万円とされています。ただし、組合によって異なるため具体的な基準は加入している健康保険組合に必ず確認してください。

扶養から外れると、自分で国民健康保険や国民年金保険を支払う必要があり、負担が増えてしまうので注意しましょう。

失業保険による手当が受給できない場合がある

開業届を出すことには、失業保険の手当が受給できない場合があるというデメリットがあります。

失業保険とは、失業中の人が次の職を見つけるまでの生活を支援するための制度です。そのため事業を開始すると、再就職を目指す「失業状態」とは認められなくなるかもしれません。

しかし開業届を提出した後でも、不定期に仕事が入るなど、ハローワークの求人紹介に随時応じられる状態であれば、特定の条件下で失業保険の給付対象となることがあります。

そのため、失業保険を受給していて開業を検討している場合は、ハローワークに相談し失業保険の受給資格にどのような影響があるのかを事前に確認しましょう。

開業届の書き方と提出方法

開業届の書き方

(引用:https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/shinkoku/pdf/h28/05.pdf

①提出先の税務署

提出先の税務署は、事業の所在地に基づいて決定されます。事業所のある地域を管轄する税務署に開業届を提出する必要があります。国税庁のウェブサイトなどで、自分の事業所の住所を入力して管轄する税務署を検索できます。

②納税地

納税地は、税金を納めるべき場所を指します。通常、事業の主たる事務所の所在地が納税地となります。個人事業主の場合は、主たる事業所の所在地が納税地です。

③氏名・生年月日

事業主の氏名および生年月日を明記します。法人の場合は代表者の名前となります。これは、事業主の身元確認と税務上の正確な記録のために必要です。

④個人番号(マイナンバー)

個人番号は、日本の全ての居住者に割り当てられた12桁の番号です。税金の申告や社会保障の手続きなどで使用されます。事業主はこの番号を開業届に記入する必要があります。

⑤職業

開業届には事業主の職業を記載します。職業は、事業内容を反映したものであるべきです(例:小売業、コンサルタントなど)。

⑥屋号

屋号は事業を行う際に使用する名称です。個人事業主が事業で用いる名前であり、法人の場合は商号と呼ばれます。

⑦提出の区分

開業届の提出は、新たに事業を開始する際に必要ですが、事業の変更や廃業時にも更新が必要です。この項目では、どの種類の届出かを明確にします(例:開業、事業内容の変更、廃業)。

⑧所得の種類

事業の種類によって所得の種類が異なります(例:事業所得、不動産所得など)。適切な所得の種類を選ぶことが重要です。

⑨開業・廃業等日

事業を開始した日または廃業した日を記入します。これにより税務上の責任の開始・終了日が決定されます。

⑩開業・廃業に伴う届出書の提出の有無

開業または廃業に際して他の関連する届出書が必要かどうか(例:消費税の免税事業者の選択届出書)を示します。

⑪事業の概要

事業内容を具体的に記述します。これには、提供する商品やサービスの説明が含まれます。

⑫給料等の支払の状況

従業員に対する給料の支払い状況を記入します。支払いがある場合はその詳細を記載します。従業員がいる場合は、支払いの有無と支払い方法を記入します。

⑬源泉所得税の納税の特例の承認に関する申請書の提出の有無

源泉所得税の納税の特例を申請する場合、その有無と申請書の提出状況を記入します。特例を利用する意向がある場合は、必要な書類を準備し、提出予定であることを明記します。

⑭給与支払いを開始する年月日

従業員に対して給与の支払いを開始する日を記入します。給与の支払い開始日は、事業の運営において重要な日となるため、正確な日付を記入します。

開業届はどこに出す?

開業届の提出方法は、税務署への直接持参・郵送・e-Taxを利用したオンライン提出があります。

税務署の場合

税務署へ直接持参する場合は提出用と控えの2部を準備し、控えには受付印をもらって保管の重要性を忘れないようにしましょう。

郵送で提出する際には、本人確認のためにマイナンバーカードやその他の本人確認書類のコピーを添付しなければいけません。また、控えの返送を希望する場合は、返信用封筒と切手を同封してください。税務署への確実な届けを保証するため、簡易書留やレターパックなどの追跡可能な配送方法で送りましょう。

e-Taxの場合

e-Taxを利用した場合、スマホから手軽に開業届を提出することができます。また、e-Taxの利用には事前の準備があります。

開業届の提出には複雑な手続きがありませんので、慣れていない場合は税務署へ直接持っていくのがおすすめです。

開業届の提出期限は、事業開始日から1か月以内に設定されています。なお、土日祝日にあたる場合は翌平日が期限です。

開業届を提出しなかった場合の罰則はありませんが、所得税の青色申告承認申請書の提出期限を逃すと青色申告ができなくなるため注意しましょう。

よくある質問

開業届はいつまでに作成すればいい?

開業届の提出は、事業を開始した日から1カ月以内に税務署長に行う必要があると所得税法(第229条)で定められています。

事業開始日は個人が任意で決められ、売上がない場合でも、事業を行う意志がある場合は開業届を提出しなければいけません。

提出方法には税務署の窓口に直接持参する方法、郵送、電子申請(e-Tax)がありますが、どの方法でも開業日から1カ月以内の提出が原則です(土日祝日にあたる場合は翌平日が期限)。

また、開業届は開業前に提出することはできません。

提出期限を過ぎても特に罰則は設けられていませんが、後回しにしていると開業届を提出した時のメリット(例えば、青色申告の特典利用、屋号入り銀行口座の開設など)が受けられなくなるかもしれません。できるだけ早く提出しましょう。

また、青色申告を希望する場合は、開業届と併せて青色申告承認申請書の提出も必要です。青色申告承認申請書の提出期限は、開業日が1月1日から1月15日の場合は3月15日まで、1月16日以降の場合は開業から2カ月以内と定められています。

青色申告をすると税制上で大きなメリットがあります。それらのメリットを受けるためにも、こちらもなるべく早く提出しましょう。

開業届のオンラインでの提出方法はある?

マイナンバーカードをお持ちであればe-Taxを利用してオンラインでの提出ができます。ICカードリーダライタまたはマイナンバーカード読み取りに対応したスマホが必要ですが、税務署に出向く必要が無い点が大きなメリットと言えます。

副業でECをやっている場合、開業届を出す必要はある?

副業でECサイトを運営している場合でも、「事業」とみなされる場合は開業届の提出が必要です。

事業とは継続的に経済活動を行い対価を得る行為を指しており、ECショップの場合もほとんどが事業に含まれるでしょう。ただし、たまにフリマアプリで不用品を出品したり、趣味でハンドメイドの作品を販売するなどの場合は事業にならないことが多いです。

専業や副業に関わらず、事業活動を行う場合は活動開始後1カ月以内に所轄の税務署へ開業届を提出する必要があります。

また、副業で開業届を提出しても税務署から勤務先に通知されることはないため、直接的に副業がバレることはありません。

ただし、副業の収入が増えて住民税も上がることで、会社に副業を知られる可能性があります。

まとめ

今回はネットショップを運営する際の開業届の提出について解説しました。

開業届は本業や副業に関わらず、事業を行う際は提出しなければいけません。開業届を提出することで、個人事業主の証明や青色申告、屋号での銀行口座解説などができるようになります。

開業届提出の手続きは非常に簡単ですので、ネットショップを運営する場合はなるべく早く提出しましょう。